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ここではインプロやワークショップに関するさまざまな考えを書いています。

THE MASK THEATRE『Carbon Copy』ふりかえり

昨日、一昨日はTHE MASK THEATRE『Carbon Copy』でした!ご来場いただいたみなさま、どうもありがとうございました。

今回はかなり実験的な公演で、そして実験的な公演らしく、「やってみて初めて分かった」ということがとっても多い公演でした。

僕はこれまで仮面のインプロワークショップをいくつか受けてきました。その中でも去年受けたスティーブのワークショップは非常に印象に残っています。その中でやったフルマスクのインプロはとてもやりやすくて(もちろん難しいところもあるけれど)、そしてとても面白いものだと感じました。

だから「どうしてフルマスクのインプロショーは無いのだろう?」と思っていました。(世界にはフルマスクのインプロワークショップはあるし、インプロではないフルマスクのショーもあるけれど、フルマスクのインプロショーはほぼ無いと認識している。)

今回フックさんに声をかけてもらって、公演の3分の1としてですがフルマスクのインプロを公演として行うことになりました。フックさんがディレクターとなって進めていた今回の稽古もやっぱりやりやすくて、そして面白いものでした。

しかし実際に公演としてやってみて感じたのは、「これはめちゃくちゃ難しいことをやっている」ということでした。

ワークショップや稽古でフルマスクのインプロをやるときにはディレクターがいるし、見る人もかなり見方が統一されています。だからやりやすくて面白いものになるのだけど、それをディレクター無しの公演でやるというのは本当に難しいことなのだと思いました。

だからフルマスクのインプロショーが無いのは「想像以上に難しいから」なのだと思いました。身も蓋もない結論ではありますが、でも本当にそうなのだと思っています。

一方で。

そんな難しすぎるフルマスクのインプロではありましたが、それでも面白い場面はありました。むしろ動画で見て「このシーン面白いね!」と思えるシーンの方が多いくらいでした(フルマスクはやっている本人たちは何が面白いのか分からないので、動画で見て初めて分かる)。ただしそれもやっぱりワークショップのような繊細な面白くなり方とは違うタイプの面白さで、という条件付きではあります。

だから稽古を積み重ねていけばもっと面白いシーンが作れるようになるのかもしれないし、さらに稽古を積んでいけばワークショップのような繊細な面白さを見せることができるようになるのかもしれません。それについては「まだ分からない」というのが正直なところで、今回の公演によって「分からないことが分かった」とも言えます。

僕個人のパフォーマンスのふりかえりとしては、もっと自分やパートナーやお客さんを信頼することができたなぁと思っています。そしてその信頼とは「きっと何かができるから」というよりも「たとえ何もできなくても存在が許されている」というレベルでの信頼です。逆に言えばそれ以外のことをふりかえってもしょうがない、とも思っています。フルマスクはサイレントなので、普通のインプロのようにテクニックでどうにかできる部分はかなり少ないからです。

今回の公演は僕にとって本当にギリギリのチャレンジでした。ここまでギリギリのチャレンジはおそらく自分自身ではできなかったと思います。そんなチャレンジの機会を与えてくれたフックさんには感謝しています。また、一緒に綱渡りをしてくれたりなちゃんとカエル、公演に関わっていた他のチームメイト・スタッフにも感謝しています。そして繰り返しとなりますが、ご来場いただいたみなさまにも感謝しています。

今回の経験を通して、インプロバイザーとして一つ上のステージに上がれそうだと感じています。より純粋に。そこに愛があるように。

なんだかまとまりのないふりかえりとなりましたが、仮面やインプロやアートの可能性はまだまだ開かれているということを表しているのだと思って終わりとしたいと思います。

来年の頭(1月6日)には僕のホームチームである「タピストリ」の公演を行います。こちらについてはまた後日詳細をアップします。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

11月24日(金)演技のためのインプロワークショップふりかえり

11月24日(金)は演技のためのインプロワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

今回は「物事を進める」をテーマに、待つこと・行動すること・劇的であることを重視したインプロを行いました。

以下はワークショップのメモや個人的なふりかえりです。

「Action」とは何かを探求していく

クロサワインプロは、待って、行動する(Action)というフォーマット。しかし何がアクションなのかを定義することはできない。やってみて物事が進んだように見えるものがアクションだから、たくさん試してうまくいったりいかなかったりして学んでいく。

リアクションはアクションではない

当たり前といえば当たり前だが、リアクションはアクションではない。しかしリアクションをすると感情も出てくるので、それでアクションをした「感じ」になるので注意が必要。アクションは反応ではなく、意図的・選択的な行動である。

アクションとリアクションはどちらもできる必要がある

アクションのインプロとリアクションのインプロはどちらもできることが必要。アクションのインプロだけだとやりとりが薄くなるし、リアクションのインプロだけだと物事が進まない。どちらもできるようになっておけば、必要なときに必要なことができるようになる。

3ヶ月にわたって行ってきた「演技のためのインプロワークショップ」はここで一旦おしまいです。最初に想定していたよりもずっと深くてずっと高度なワークショップになったと感じています。連続もしくは週一ワークショップはまた来年に再開しようと考えていますので、その時はどうぞよろしくお願いします。

なお、12月は12月9日(土)に行われる「もんてんインプロまつり!」内で演技のためのインプロワークショップを行います。
この日は他にもストーリーテリング・マスクのワークショップも受けることができますので、ご興味ある方はどうぞお越しください。

また、夜には会場である両国門天ホールを使って誰でも参加できるインプロショーを行います。
この連続ワークショップでは発表会のようなものは行いませんでしたが、劇場で・人前でインプロをやることに興味がある方はぜひお越しください。

ご予約は他のワークショップや夜の部も含めて僕に直接連絡をいただいても大丈夫です。
今後ともどうぞよろしくお願いします!

11月19日(日)アレクサンダーテクニークとインプロのワークショップふりかえり

昨日はアレクサンダーテクニークとインプロのワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

これまで様々な観点からアレクサンダーテクニークとインプロのつながりを探求してきたワークショップですが、今回はシンプルに「身体をいい状態にする。その状態でインプロをする。そうしたら何が起きるだろうか?」というテーマで臨んでみました。

以下はワークショップのメモや個人的なふりかえりです。

刺激に対して反応する自分に「待った」をかける

刺激に対して反応しているときには選択の余地が無い。だからそこで一旦待ってみる。そうすると選択の余地が生まれる。人前で即興で何かをするということはかなり強い刺激だから、すぐに反応したくなる。だからゲームやシーンの中で1回でも待つことができたら十分。そこから始めてみる。

どちらも犠牲にならずに一緒にいる

自分と相手が一緒にいる時にどちらかが犠牲にならないようにしたい。自分を犠牲にして相手を心地よくさせるのではなく、相手を犠牲にして自分が心地よくなるのでもなく、お互いに心地よい状態を目指す。100%の自由と100%の貢献の両立。

身体の観点でふりかえる

自分を犠牲にしているかどうかは身体の緊張で分かる。それは心の状態から見つけようとするよりもずっと明確である。インプロを身体の観点からふりかえることはほとんどないが、その観点でふりかえってもいい。それは非常に堅実で健康的な方法である。

今回のワークショップはシンプルなテーマで臨んで、そしてシンプルに心身と即興の探求ができたとってもいい時間でした。最近は身体寄りのアプローチを探求していましたが、そのひとつのモデルとなるワークショップとなりました。

次回のアレクサンダーテクニークとインプロのワークショップは未定ですが、また行いたいと思います。不定期のワークショップですのでご興味ある方はお見逃しなく。今後ともどうぞよろしくお願いします。

11月17日(金)演技のためのインプロワークショップふりかえり

昨日は演技のためのインプロワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

今回は「一瞬一瞬に生きる」をテーマに、今ここ・反応・リアリズムを重視したインプロを行いました。

以下はワークショップのメモや個人的なふりかえりです。

相手と一緒に楽しむ

インプロは自分ひとりで夢中になるものではなく、相手と一緒に楽しむもの。ふたりとも楽しんでいるけれど、実はバラバラに楽しんでいることもある。楽しんでいる自分と静かな自分が同時にいるように。

ダメな自分のままでいる

サムライゲームでは自分がダメになった時に切ろうとしないように。ダメな自分のまま相手と一緒にいる。困っていたり恥ずかしがっている自分を晒す。そうすればそれも面白くなる。

目的を達成することにコミットする

リアリズムの演技で大事なのは目的を達成しようとすること。それにどこまで本気を出せるか。その山は途中で降りることもできるけど、パートナーとどこまで登ることができるか。それは本当に苦しい。しかしその奥には喜びがある。

次回11月24日(金)は「物事を進める」をテーマにやってみようと思います。今回とは反対に、待つこと・行動すること・劇的であることを重視したインプロをやります。最終回ですが単発での参加も受け付けておりますので、ご興味ある方はお申し込みください。どうぞよろしくお願いします。

リアリズムのインプロと劇的なインプロについての覚書

毎週金曜日にやっている「演技のためのインプロワークショップ」は残り2回となりました。今回のワークショップは連続でやってきたため、これまで試したことのないこともたくさんやってきました。その中で発見したことはたくさんありますが、特に今回のワークショップで大きく明らかになったのはリアリズムのインプロと劇的なインプロの違いでした。

リアリズムのインプロは反応できることが大事

インプロで自然なやりとりを見せたいなら、一瞬一瞬反応できることが大事になる。

また、そこに(スタニスラフスキーシステムやメソッド演技のように)目的を入れるとよりシーンらしくなる。

リアリズムのインプロにはリアルなやりとりの面白さがある。また、反応でやっているため想定外のことが起こりやすく、そこで爆発的に面白くなったりする。

劇的なインプロは待てることが大事

反対に、劇的なインプロでは反応しないことが大事になる。なぜなら劇的なインプロは生きるか死ぬかといった大きな状況を扱うため、そこで習慣的な反応をすると日常サイズに戻ってしまうから。

劇的なインプロでは反応よりも行動が大事になる。そのシチュエーションにいる人物がどのような行動を取る可能性があるかを探求していく。

劇的なインプロには物事が大胆に進んでいく面白さがある。また、ギリギリの可能性に飛び込むと非常に興味深くなる。

どちらもできることが大事

インプロでは反応できることが大事だけど、反応しないでいられることも大事。

これらは矛盾するようだけど、しかし両立することもある。まるで必要なときに必要なことが起こるように。

そのためにはどちらもやっておく必要がある。リアリズムに偏ると物事は進まないし(揉め事のようなインプロになる)、劇的に偏るとやりとりが薄くなる(プレイヤーが見えすぎるインプロになる)。

正解はない。しかしだからこそ面白いのだと思う。

残り2回はまとめ回です

演技のためのインプロワークショップの残り2回はまとめ回となります。1回目は「一瞬一瞬に生きる」をテーマに反応できるようになるインプロを扱い、2回目は「物事を進める」をテーマに行動できるようになるインプロを扱います。まとめ回ですが単発での参加も全く問題ありませんので、ご興味ある方はどうぞご連絡ください。

最後までどうぞよろしくお願いします。

仮面劇の何が面白いのか?

今日もたびたび告知している仮面劇の稽古でした。稽古は毎回とっても充実していて、そして可能性を感じるものになっています。

今回の仮面劇は日本ではほとんど上演されることのないフルマスクを使用した劇です。だからこそ可能性を感じているのですが、同時に新しすぎて、「告知の仕方が分からねぇ」という状態でもあります(笑)

というわけで、ここでは仮面劇の何が面白いのか、可能性があるのかについて書いてみようと思います。

踊ることと演じることの境界線を綱渡りする

今回の仮面劇には台本パート・ダンスパート・インプロパートがあって、僕はインプロパートに出演します(1つの公演で全てが見られます)。

インプロパートはもちろん即興で、なおかつ今回はフルマスクを被っているためサイレントでシーンを行います。そういったことを話すと「何を頼りにやるのですか?」と聞かれることがあります。

僕の実感としては「自分の身体に聞いてみる」ということが頼りになると感じています。フルマスクのインプロでは「今は身体が座ったほうがいいと言っている」「今は身体が近づいたほうがいいと言っている」という身体の声に従っていきます。そうしているとシーンが自然とできあがっている、というのがうまくいくときの感覚です。反対に、シーンを作るために「身体を動かそう」とするとうまくいかなくなるという感覚があります。

自分の身体に聞いて従っていくことは踊るようなことだと思います。僕は踊ることが好きで、夜な夜な部屋の中でひとり踊っていることがありますが、その感覚と近いものがあります。

しかし、本当に踊ってしまうとそれは演劇にはならなくなってしまいます。だから今やっていることは踊ることと演じることの境界線を綱渡りするようなことだと思っています。

分かることと分からないことの境界線を綱渡りする

これは同時に、分かることと分からないことの境界線を綱渡りしている、とも言えると思います。

フルマスクにおいて身体は意図を表現するものではなく、自発的に動くものです。だからそこには明確な意味はありません(特にシーンの始めのうちは)。

そういう意味で、分かりやすいかと言えば分かりやすいものではないと思います。しかし、それが分かりやすいものではないからこそお客さんの想像力は働き出します。もしそれが分かりやすいものであったら、そこにはお客さんの想像力が働く余地がありません。また、それが分からなすぎてもお客さんの想像力は働き出しません。

そういう意味で、今回の仮面劇(特にインプロパート)は分かることと分からないことのギリギリを攻めている公演だと言えると思います。

というわけで、今回の公演は非常に実験的な公演だと思っています。しかしだからこそ可能性がある公演だと思っています。今回の公演では、ぜひその可能性を目撃しに来ていただければと思います。

みなさまのご来場をお待ちしています。どうぞよろしくお願いします!

以下詳細です。

THE MASK THEATRE 『Carbon Copy』

【日時】
2017年11月25日(土)・26日(日)
25日(土) 14:00 / 17:00
26日(日) 12:00 / 15:00
※開場は開演の30分前
※上演時間は約50~60分予定

【会場】
若葉町ウォーフ01
神奈川県横浜市中区若葉町3-47-1

【料金】
前売 2000円(学生1000円)
当日 2500円(学生1500円)

【予約】
内海に直接ご連絡いただくか、下記URLよりご予約ください。
https://torioki.confetti-web.com/form/277

【詳細】
下記特設ページをご覧ください。
http://bricolage-rl.com/carboncopy/

どうしてアレクサンダーテクニークとインプロを一緒にやっているの?

11月19日(日)はアレクサンダーテクニークとインプロのワークショップです!このワークショップは何度か行っていて、「興味ある」という方は多いのですが、同時に「どうしてアレクサンダーテクニークとインプロを一緒にやっているの?」と聞かれることも多いので、それについてちょっと書いてみたいと思います。

僕がアレクサンダーテクニークに出会ったのは、ちょうどインプロと同じ大学三年生の時でした。当時の僕はバイトとして進学塾の講師をバリバリやっていたのですが、バイトを頑張りすぎた結果腱鞘炎に近いものになってしまいました。

僕は国語の集団授業をやっていたので板書が多かったし、長期休みには1日7時間授業をする、といったこともあったので、腱鞘炎になっても仕方ないと言えば仕方ない状況ではありました。しかし同時に「同じだけ授業をしても腱鞘炎にならない人もいる。その違いはなんだろうか?おそらく板書することに力を使いすぎている」とも考えました。

そしてなんとなく名前は知っていたアレクサンダーテクニークのことを思い出し、レッスンに通うことにしました。アレクサンダーテクニークは身体の(それは同時にマインドの)不必要な緊張に気づいてそれをやめていくという学びです。腱鞘炎についてはそれこそ1回のレッスンで問題なくなったのですが、その学び自体が興味深いと思った僕はその後もしばらくレッスンに通っていました。

そして同時期にインプロにも出会ったわけですが、僕の中では「これはなんか近いものだぞ」という実感がありました。キース・ジョンストンのインプロは何かを身につけていくというよりも、「人前に立った時の恐怖を取り除いていく」という学び方をするのが特徴です。そして「やめていく学び」という点でアレクサンダーテクニークと近いと感じていました。

大学を卒業した後しばらくはアレクサンダーテクニークのレッスンに通っていなかったのですが、その考え方自体はいつも自分の学びに使っていました。そして3年ほど前にけんさん(このワークショップの相方でアレクサンダーテクニーク教師)に出会って「アレクサンダーテクニークとインプロで何かをやろう」という話になりました。

それから2年ほどは特に何もなかったのですが、僕がアメリカに行って帰ってきてけんさんと話していたときに「やっぱりやろう!新しいことを試してみよう!」ということで今年から不定期でワークショップを始めました。

何回かこのワークショップをやってみて分かったことは、「やめていく学び」という点では共通しているものの、その純粋さはアレクサンダーテクニークの方がずっと純粋だということです。

僕はインプロを日本の中でもかなり「がんばらない」路線でやっていますが、アレクサンダーテクニークの頑張らせてくれなさはインプロの比ではないです(笑)

でもだからこそ生まれる静けさがあって、僕はそれにある種の羨ましさを感じています。そしてそれくらい静かにインプロができてもいいなぁと思っています(もちろんいつもそんなに静かである必要は全然無いけれど、でも静かであれる選択肢は持っておきたい)。

だからこのアレクサンダーテクニークとインプロのワークショップでは、わーっと盛り上がる楽しいインプロというよりも、より静かにそこにいられるようなインプロを目指していきます。

ご興味のある方はどうぞお越しください。インプロがはじめての方でも大丈夫です。どうぞよろしくお願いします。