演劇は「人生を称える」ものである

最近は「なぜ演劇をやるのか」ということを考えている。そしてその理由のひとつとして「人生を称える」ということを考えている。

人生を称えるということは、必ずしもハッピーエンドを意味するわけではない。切なくても、惨めでも、そこに誠実さがあれば人生を称えることはできる。

二十歳の頃に『カラマーゾフの兄弟』を読んだ。そして今でも印象に残っている一節がある。

「あのね、コーリャ、それはそうと君はこの人生でとても不幸な人になるでしょうよ」突然どういうわけか、アリョーシャが言った。
「知ってます、知ってますとも。ほんとにあなたは何もかも前もってわかるんですね!」すぐにコーリャが相槌を打った。
「しかし、全体としての人生は、やはり祝福なさいよ」
人生は必ずしも楽しいことばかりではない。むしろ辛いことばかりかもしれない。しかし総体として祝福することはできる。そういうことを描くために演劇というものはあるのかもしれない。(ちなみに『カラマーゾフの兄弟』に関して当時の自分がどれほど理解したかは心もとない。今改めて読んだらまた違うものに思えるだろう。)

このように考えるきっかけになったのは、『ザ・ベクデルテスト横浜公演』だった。ザ・ベクデルテストとは3人の女性の人生を即興で描くインプロ(即興演劇)のフォーマットである。映画のジェンダーバイアスを測定するために用いられる「ベクデルテスト」をもとにサンフランシスコのインプロバイザー、リサ・ローランドが生み出したフォーマットである。

横浜公演ではザ・ベクデルテストのために3日間の合宿稽古を行った。その中でこのフォーマットは3人の女性の人生を称えるフォーマットなのだと思った。

ザ・ベクデルテストにおいて主人公の女性たちはヒーローのように行動する女性たちである必要はない(それでは男性の役割を女性に変えただけである)。その女性たちは「普通」であるかもしれない。しかしそのような女性たちにも日常や非日常があり、それを祝福することはできるのだ。

6月2日(土)に『Impro for Lovers』という公演に出演する。これはザ・ベクデルテストの東京公演のアフタートークで「女性を描こうとすることによって、かえって男女の境目が強調されるのではないか」というお客さんからの意見によって生まれた公演である。したがって、『Impro for Lovers』の世界ではLGBTの人たちも当たり前に登場する。

しかし、だからといって『Impro for Lovers』はLGBTをテーマにした公演でもない。女性にも人生があるように、LGBTにも人生がある。そしてそれは男性であってもストレートであっても同じことだ。

ここで描くのは「女性だから」「LGBTだから」「男性だから」「ストレートだから」という物語ではなく、「わたし」と「あなた」の物語である。

LGBTだろうとストレートだろうと火星人だろうと、そこに愛があればいいのだ。そして人生を称えよう。そんなスタンスで公演に臨みます。

とはいえ、基本はインプロであり、コメディーの公演です。たくさん笑って、そして少し愛について考えてみましょう。

ご興味ある方はどうぞご連絡ください。どうぞよろしくお願いします。

【Impro for Lovers】 “今夜、愛の話をしよう”

優しくて、あたたかくて、寂しくて、ちょっぴり切ない7人で愛の話をします。出てきたエピソードから、即興でシーンを作っていく、トーク×インプロ×ミュージックショー。

〈日時〉
6月2日(土)16:30~ / 19:30~
(各回100分前後を予定)

〈料金〉
各回 2000円+1drink
通し 3000円+1drink
学生 1500円+1drink

<場所>
高円寺グリーンアップル
(東京都杉並区高円寺南4-9-6 第三矢島ビル2F)
JR中央線・総武線「高円寺駅」南口を出て徒歩3分
http://www.greenapple.gr.jp/access.html

<予約>
ご予約は出演者に直接ご連絡いただくか、下記フェイスブックイベントで「参加」をクリックしてください。
https://www.facebook.com/events/2550152861875839/
<出演>
江戸川カエル(仮面夫婦)
内海隆雄(第三インプロ研究室)
忍翔(劇団しおむすび)
住吉美紅(Platform)
だいら(劇団しおむすび)
高見次郎(Tottoria)
むらし(タピストリ)

スペシャルミュージシャン:
シンガーソングライター瑜伽陽介