「うつのみや春の演劇フェスティバル」に出演してきました

この前の土曜日は「うつのみや春の演劇フェスティバル」で演劇集団DE:RESインプロ研究室のゲストとして1時間のインプロショーに出演してきた。出演者はDE:RESのメンバー8人と僕を含むSAL-MANEの3人で合計11人。僕はディレクターをDE:RESのなぁさんと分担して行いつつ、プレイヤーとしても出演するという大忙しの1時間で、ひさびさにインプロをやってクタクタになった(笑)

ショーはとってもいいショーだった。プレイヤーは楽しんでいて、そしてチャレンジもしていた。そこにはインプロに対して真摯な姿があって、お客さんの反応もとても良かったと思う。

今回久しぶりにショーのディレクターをして思ったのは、「キースのインプロはよくできているなぁ」ということだった。キースのインプロはディレクターがいることが前提となることが多いのだけど、たしかに子供のようなプレイヤーと親のようなディレクターがいるとすごくいいショーになる。

今回DE:RESの出演者8人のうち、3人は初めてのインプロショーだった。他のメンバーにしてもインプロショーの経験数が多いわけではない。けれど、「初心者がいるからショーのクオリティーが低い」とか「経験者が集まっているからショーのクオリティーが高い」とか、そういう尺度ではない「よさ」がこの日のショーにはあった。

インプロショーでは普段90点の人が80点を出すよりも、普段60点の人が70点を出す方がずっといいショーだと感じられる。そして、ディレクター付きのショーはそういう状態をすごく作りやすいのだと思った。

一方で、この日のショーはディレクターがいないショーの難しさについても改めて考える機会になった。

SAL-MANEというチームは特定の指導者を持たない。また、最近は権力を分散させるようにしているので、僕もできるだけ口を出さないようにしている(これまでの経験上、僕がいろいろ言っても親の立場にはならなくて、「うるさい友達」の立場になるのであまりうまくいかない)。

DE:RESと比べるとSAL-MANEの方がインプロの経験は多いけれど、だからといっていいショーができるかというと「うまくいくこともあるけれど、思ったほどはうまくいかない」という実感がある。

親となるディレクターがいる場合、ショーの大枠はディレクターが作ってくれるし、チャレンジもさせてくれるし、いざとなったら助けてくれるという安心感もある。しかし、そのようなディレクターがいない場合はプレイヤーたちが率先して助け合って、チャレンジして、そしてショーを作っていく必要がある。

そしてそれは思ったよりも難しいことなのだということを、今回のショーを通して改めて発見した。(特に日本人はお互いを見合ってしまいがちなので難しいと思う。アメリカ人の場合はそれほどでもなく、そもそもディレクターの存在がほとんど無いのもある種必然だと言える。)

さらに言えば、これまでのSAL-MANEのショーはゲームやシーンごとにMCがあったので、交代でリーダー役を引き受けることができた。しかし最近はMCを入れない方法に挑戦しているので、本当にプレイヤーとしてショーを作っていく力が必要になるのだなぁと改めて実感している。

1985年横浜生まれ。東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において300回を超えるワークショップを開催している。2017年にはアメリカのサンフランシスコにあるインプロシアターBATSにてワークショップおよびショーケースに参加。またアメリカのインプロの本場であるシカゴにも行き、海外のインプロ文化にも触れる。 →Twitter