即興激闘に「仮面夫婦」として出演しました

昨日は即興激闘に出演してきました。9時間というとんでもなく長いインプロショーでしたが、とんでもなく良いインプロショーでした。お客さん、出演者、スタッフ、関わってくれたすべての人に感謝しています。どうもありがとうございました。

僕は江戸川カエルとともに「仮面夫婦」という仮面を使ったサイレントユニットで出演しました。

(即興激闘の写真撮影:ますくわーど)

今回の出演にあたってはいつも以上に緊張している自分がいました。

フルマスクのインプロをお客さんの前で行うのは去年11月に出演した仮面劇「Carbon Copy」以来でした。

Carbon Copyはなんとか乗り切ったものの、「フルマスクのインプロをお客さんの前でやるのは難しすぎる……!」という感想も持ちました。だから今回は本当に何もできないのではないか、と思っている自分もいました。

しかし実際に舞台に上がってみると、MCのじゅんきやこれまでの出演者のおかげもあり、仮面夫婦は想像以上にお客さんに受け入れられたという実感がありました。

フルマスクのインプロは全くしゃべりませんが、僕はこれをお客さんとの対話だと思っています。舞台上に立ってみて、お客さんが何を期待しているかを想像して、そして動いてみる。その繰り返しが結果としてストーリーを生み出していきます。

今回ひさしぶりにお客さんの前でフルマスクのインプロをやってみて、「お客さんの前でやる方がずっとやりやすい」という感想を持ちました。仮面をつけると視界は狭くなりますが、その他の感覚は鋭くなります。今回はシーンの最中、お客さんの笑い声だけでなく、息遣いや気配のようなものを感じ、それによってどう進んでいいのかが分かるときがありました。

その結果、仮面夫婦は1回戦を勝てれば十分だと思っていましたが、3回戦まで行くことができました。

Carbon Copy以降、演出家のフックとともにほぼ毎週コンタクトインプロと仮面の稽古を続けてきました。今回ひさしぶりにお客さんの前でフルマスクのインプロをやってみて、その稽古は着実に身になっていると実感できました。

出演後、お客さんや他の出演者から「とても良かった!」「この世界観、好きです!」「これはアートだった!」という声をたくさんかけていただきました。とてもうれしかったです。どうもありがとうございました。

3回戦で自分の出演が終わって以降は、ひとりの観客としてショーを楽しんでいました。準決勝、決勝はいずれも素晴らしいインプロばかりでした。

特に「No Theatrical Improv」として出演していたゆうきの決勝パフォーマンスは本当に素晴らしいものでした。それは「よくできている」の向こう側に飛んでいったパフォーマンスで、僕は素直に「これはすごい」と思っていました。

決勝パフォーマンス中、「こういう愛し方しかできないんだ!」とゆうきが叫んだシーンはインプロ史に残る名シーンだったし、なんなら演劇史に残ってもいいくらいの名シーンだと思いました。このセリフはゆうきの心から出ていた言葉でしたが、その様子を見て「そういえば演劇ってそもそもそういうものだな」と思わされるほどの真実がそこにはありました。

しかし、それでも僕が最後まで投票したのは対戦相手の「絶対自由」でした。パフォーマンスとしてはNo Theatrical Improvの方が優れていると思っていましたが、それでも絶対自由に投票している自分を省みて「僕はじろうのファンなのだなぁ」と思っていました。

この日のじろうのパフォーマンスは最初から最後までキレキレのものでした。じろう本来の面白さと、お客さんの期待に応えていくじろうのエンターテイナーとしての力が融合していました。この日のじろうには面白さだけではなく、かっこよさすら感じました。また、そんなじろうに愛と遊び心を持って関わっていくひろきゅんの姿もまたかっこいいものでした。

正直言って、仮面夫婦としてこのバトルに食い込んでいくにはまだまだ足りないものがあると感じました。そしてフルマスクのインプロの世界をまだまだ深めていく必要があると思いました。

インプロバトルを見ていると、即興において何が大事なのかが分かりやすいと思います。「よくできている」では不十分で、その向こう側へと飛んでいく必要がある。「奇跡を起こすか、失敗する」という覚悟で望むこと。今回の即興激闘は最終的に「奇跡 VS 奇跡」という素晴らしいバトルが見られたと思います。

細かく感謝を述べていくとキリが無くなってしまうので、最後に主催のじゅんきに感謝を述べて終わりたいと思います。

これだけのイベントを引っ張っていくのは本当に大変だったと思います。しかしそれをやりきるだけのインプロへの愛と熱がじゅんきにはあるのだと感じました。MC姿はかっこよかったです。明後日は一緒にインプロを楽みましょう。

というわけで、明後日は『Air 2』です。じゅんきが目一杯インプロできるように、そして「よくできている」の向こう側へ飛べるように、舞台に臨もうと思います。まだ少しお席がありますので、ご興味ある方はお早めにご予約ください。どうぞよろしくお願いします。

インプロショー『Air 2』

〈日時〉
2018年6月20日(水)
19:30開場 20:00開演

<場所>
江古田兎亭
(東京都練馬区旭丘1-46-15)

<料金>
2,500円

<出演者>
八田浩禄 (演劇ギルドわむ‼)
戸草内淳基(加速装置)
早さきえこ(インプロカンパニーPlatform)
内海隆雄(第三インプロ研究室)

1985年横浜生まれ。東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において300回を超えるワークショップを開催している。2017年にはアメリカのサンフランシスコにあるインプロシアターBATSにてワークショップおよびショーケースに参加。またアメリカのインプロの本場であるシカゴにも行き、海外のインプロ文化にも触れる。 →Twitter