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ここではインプロやワークショップに関するさまざまな考えを書いています。

5月7日(日)ディレクションワークショップふりかえり

昨日はディレクションワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

前半はスポンタネイティーの赴くままに自由にやり、後半は人間の行動を丁寧に見ていくということをして、非常に充実した時間となりました。

以下はワークショップのメモや個人的なふりかえりです。

勇気づけることとチャレンジすることはキャッチボールのようなもの

「自由にやっていいよ」と言っても人は自由になれない。人は無意識のうちにチャレンジすることを避けている。だから勇気づける必要がある。
勇気づけることとチャレンジすることはキャッチボールのようなもの。勇気づけられるとチャレンジしやすいし、チャレンジされると勇気づけやすい(チャレンジしている人を見ると自然と応援したくなる)。

インプロのワークショップに来るような人はみんないい人だから、「勇気づける気持ち」は持っている。でも気持ちを持っているだけでは十分ではない。実際に「勇気づける行動」をする必要がある。

物事を前に進める

インプロは物事を前に進めるアート。会話をするのではなく、行動をする。会話は行動を遂行するためだったり、行動の意味を伝えるためにあればいい。行動をせずに会話をすると物事はどんどん複雑になり、前に進めるのが難しくなる。

そのシチュエーションでその人物が取りうる行動の可能性を探求する。どんなに困難な状況でも人間が取れる行動は必ずあるし、みんなでアイデアを出し合えばその選択肢を増やすことができる。そして行動の選択肢を増やすことは価値観を広げることであり、自由になること。

次回は今週末14日(日)にインプロワークショップを行います。アメリカに行って帰ってきてからワークショップが大きく変わっていますので、お久しぶりの方も初めましての方もどうぞ起こしください。よろしくお願いします。

4月23日(日)インプロワークショップ+アメリカ報告会ふりかえり

昨日はインプロワークショップ+アメリカ報告会でした!
参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。
僕にとってもたくさんの発見と、そして今後の可能性が見える会となりました。
以下いくつかの発見と可能性をメモしておきます。

Power of Group

発見:集団で行動することでなんとなく流してしまわず、ひとところに留まりやすい。お互いを鏡にすることができるし、何より勇気を出すことができる。
発見:間を空けるとリスクが上がる。でもそうした方がいい。リスクを取らずに面白いことを言おうとするよりも、リスクを取ってそれをどうにかしようとする方が脳はうまく働いてくれる。

Master & Servant

発見:主人は召使いを叩いたあとに謝ることが大事。それによって失敗をリセットして次へすすむことができる。
発見:主人と召使いは教育的なフォーマット。このフォーマットを使うことでストレスフリーにたくさん失敗し、フィードバックを得ることができる。
発見:主人と召使いはMisbehaveしやすいフォーマット。というよりも、自然にMisbehaveしたくなるフォーマット。
可能性:いかんせん言語化できていないことが多いのでもっと分析する必要がある。キースのインプロの特徴である「ステータス」「物事を進める」「失敗する」「Misbehave」といった概念は別々のものではなく有機的につながっているということがより理解できそう。

Direction

発見:人によってディレクション観が想像以上に違った!自分はやっぱり真面目にディレクションしがち。
発見:ディレクターはプレイヤー以上に責任を追ってしまいがちだから、勇気づけることが大事。言い換えるなら、ディレクターが失敗したところで怒るようなプレイヤーはいないということを実際に知らせることが大事。
可能性:「標準的な」ディレクションの高みを目指すよりも、それぞれのディレクション観を活かした方が面白いものになる気がしている。そういう場はいかにしたら作れるだろうか。

Kurosawa Impro

発見:シチュエーションが緊迫しているほど演技も迫真のものになる。ストーリーがプレイヤーに演技をさせやすくする。
発見:間をつくるとキャラクターがプレイヤーに染み込んでくる。そしてキャラクターとして大胆な行動する。それはしんどいことかもしれないけれど、だからこそ見ている人にとっては興味深いものになるし、やってみたら「生きてる!」という実感を得ることができる。
可能性:何が行動なのかがまだ曖昧。指針としては「物語を進めるもの」が行動なのだけど、それは結果論なので使えない。でももしかしたらこれは永遠に分からず、たくさん試して結果から身体的に学んでいくものなのかもしれない。
可能性:シンプルかつ非常に印象深いインプロなので、もっとやっていきたい。今はワンシーンで終わりにしているけど、これでフルストーリーを作ったらどんな世界が見られるだろうか。

それからワークショップ全体のテーマであった「Commit」や「Perfect」の概念についてもより整理したり、そして実践することが大事だと感じています。

これらの可能性については今後のワークショップで探求していきます。5月の予定もホームページに上げました。
5月は7日(日)にディレクションワークショップ、14日(日)にインプロワークショップを行う予定です。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

2月12日(日)ディレクションワークショップふりかえり

昨日はディレクションワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

今回は「自分で自分をディレクションする」をテーマに、シーンをやったあとに映像を見てふりかえって再びシーンをやる、ということをしたりと、ザ・実験回という感じでした。

以下はワークショップのメモや個人的なふりかえりです。

自分に一番厳しいのはたいてい自分自身

自分がインプロをしている映像を見るときにはフラットに見ることが大事になる。「こんな自分ダメだ!」と思っている時は頭の中にいる「ダメな自分」を見ていて、実際の映像の中にいる自分を見れていない。そこにいるのは自分なのだけど、一旦距離をとって見ることで自我にとらわれずシンプルに学んでいくことができる。

思っていることをディレクションに変えていく

ディレクションは端的な方がいいが、最初のうちはなかなかうまく言葉にできない。「なんか変だなぁ」「別の可能性もありそうだなぁ」というところから始めて、時間をかけて明確にしていけばいい。指導者としてそのプロセスを支えるうえでは待つこと・問うこと・勇気づけることが大事になる。

建設的な自分を育てていく

インプロをやる時には批判的な自分を脇に置いておくことが重要なのだけど、同時に建設的な自分をその空いた場所に置けることも重要になる。その場所をただ空っぽにしておくと批判的な自分が戻ってきやすいし、慣習を超えるのは難しい。いいディレクターになることは自分自身をさらにいいプレイヤーにすることに役に立つ。

来月はアメリカに行くためワークショップは一旦おやすみです。4月後半あたりから再開しようと考えていますので、今度ともどうぞよろしくお願いします。

2月5日(日)インプロワークショップふりかえり

昨日はインプロワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

今回は「つながり」をテーマにワークショップを行いました。主にストーリーテリングのことをやり、中盤では実際に20分くらいのつながりのあるストーリー(始めがあって、中があって、終わりのあるストーリー)を体験してもらいました。

以下はワークショップのメモや個人的なふりかえりです。

つながりながら何かをする

パートナーとつながりを作ること自体は難しくない。難しいのはつながりながら何かをすること。からだを動かすだけでも難しくなるし、アイデアを出そうとするとかなり難しくなる。それは自意識が働く量と関係している。

ストーリーのつながり

ストーリーのはじめはただつながりをつければいい。「これでは普通すぎて面白くないんじゃないか」と思ってひねったことを出すと、よりつながらなくなってしまう。シンプルにシンプルに始めて、そのあと主人公が出会う困難で冒険していけばいい。

インプロは協力プレイ

劇(Play)は人が人を変える遊び(Play)。相手を変える・相手から変えられるためにはパートナーとの協力が必要になる。そのつながりがないと一方が変えようとしているのに抵抗してしまったり、一方が変わろうとしているのに止めてしまったりする。パートナーとの協力があればアイデアはなんであっても変化できる。

次回は今週末12日(日)にディレクションワークショップを行います。まだ参加者を募集していますので、ご興味のある方はどうぞご連絡ください。3月はアメリカに行くためワークショップはお休みになります。どうぞよろしくお願いします。

1月29日(日)ディレクションワークショップふりかえり

昨日はディレクションワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

今回はディレクターがプレイヤーを助けるための実際の方法として、ストーリーテリングについてかなり掘り下げてやってみました。

以下はワークショップのメモや個人的なふりかえりです。

まずは相手に気を配ることから

ディレクターはプレイヤーに貢献する存在。そして相手に貢献するためには常に相手に気を配っている必要がある。気を配るとは頑張ることではなく、萎縮することでもなく、ただ気づいていること。気を配っていれば自分が何をしたらいいか分かる時がある。そしてそれが分かったらあとは勇気を持ってそれをやるだけ。

ストーリーテリングは冒険

ストーリーは主人公が困難に巻き込まれ、そして解決していくもの。即興でストーリーを作ることに不安を感じると、困難を簡単なものにしたり、すぐに解決したりしてしまう。より困難に進んでいくためにはパートナーへの信頼が必要になる。そしてパートナーへの信頼があればひとりでは進めない未知の場所まで進んでいくことができる。

ディレクターの仕事は多層的

ディレクターはプレイヤーの様子に気を配りつつ、ストーリーにも気を配る必要がある。プレイヤーだけに気を配ると終わらせる以外の助ける方法が取れなくなるし、ストーリーだけに気を配るとプレイヤーを置き去りにしてしまう。だから難しいのだけど、リラックスして見ているお客さんは全てに気づいていたりする。簡単だから自然体でいるのではなく、難しいからこそ自然体でいる必要がある。

来月は2月5日(日)にインプロワークショップ、2月12日(日)にディレクションワークショップを行います。どちらもまだ空きがありますのでご興味のある方はお越しくださいませ。どうぞよろしくお願いします。

「自由になるため」から「貢献するため」へ

最近はインプロの教え方が「自由になるため」寄りから「貢献するため」寄りにかなり変わってきている。もちろん目指すのはそれらが両立するところなのだけど、「自由になるために貢献する」よりも「貢献するために自由になる」の方がインプロでは分かりやすい。

インプロに出会って「ワークショップでは失敗しても許されるけど社会では失敗すると許されないから自由になれない!」と戦う人を生み出してもしょうがない。インプロバイザーは相手が自分に何をしてくれるかと期待する人ではなく、自分が相手に何ができるだろうかと貢献する人。

これにともなってインプロでは基本となる「失敗」に関する教え方も変わってきている。「失敗を楽しむ」ではなく、「失敗をオープンにする」。さらには自分のために失敗をオープンにするのではなく、相手のために失敗をオープンにする。失敗をごまかそうとするとその場所は重い雰囲気になり、より失敗できない場所になっていく。失敗をオープンにすればその場所はいい雰囲気になり、より安全な場所になっていく。失敗をオープンにすることはこの場所への貢献。

これはハードな教え方に見えるかもしれないけれど、実際にはこの方がやりやすいことが多い。楽しむかどうかは感情だからコントロールできないけれど、オープンにすることは行動だから意思があればできる。また、その意思も自分のためだと気分に左右されてしまうけれど、人のためなら勇気を出してやってみようと思えることが多い。

実生活では失敗してもそれをオープンにしない方が自分にとって都合がいい場合も往々にしてある。しかし、そういう時でもそのほうが相手のためになるならと失敗をオープンにできるのが特別な人。失敗すると怒られるから隠しておこうと思うのは普通の人。

そして実際に失敗をオープンにしたら意外と怒られないこともある。昔かなり厳しい塾でアルバイトをしていた時に授業で間違ったことを教えたことに気づいて(研修では「間違ったことは絶対に教えるな」と言われていた)、それを教室長に正直に報告したら意外と怒られず、むしろそれ以降すごく信頼されるようになった。誠実さには人を動かす力があるし、それで動かないならそれは仕方がないこと。

まわりの人にインプロの良さを説いても、そこに戦う気持ちがあったら相手には響かない。それは相手のためにインプロを伝えているのではなく、インプロを広めることで自分が楽をしようとしているだけから。

それよりもただ相手のために行動した方がいい。そうしたら相手が自然と自分のやっていることに興味を持ってくれるかもしれないし、別に興味を持たなくてもいい。

写真家の星野道夫が書いた『旅をする木』に、折に触れて思い出す印象的な一節がある。 アラスカの氷河の上で降るような星空を眺めながら、星野道夫が友人と会話している場面だ。

「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」

「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって……その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」

インプロが広まるということもこういうことだと思う。インプロというジャンルが広まったり、インプロの考え方が広まることよりも、そこにいる人たちがいいインプロをしている時のようにいい時間を送れることのほうがずっと大事なのだ。

勝てる人になるのではなく戦わない人になる

キース・ジョンストンのアクティングの特徴である「ステータス」という概念は脚本芝居でそのまま使えるかというと微妙なところだけど、俳優訓練としてはとても重要なものだと最近改めて思うようになった。そしてそれはノンアクターにとっても役に立つし、なんなら感情開放よりも重要かもしれない。

感情の変化はできるけどステータスの変化はできない人は「感情が豊かな人」にはなれず、「感情の起伏が激しい人」になってしまう。いつもどこか戦っている・抵抗している感じが残ってしまう。反対に、感情の変化はできなくてもステータスの変化はできる人は「クールだけど気配りのできる人」になる。それはそれでかっこいい。

最近はオープンなワークショップを始めたこともあって、インプロが参加者の人生にどのように貢献できるかということを考えている。普段の生活でイライラを抱えた人が演劇ワークショップに来て感情を出してスッキリして帰る、みたいなことをやってもあんまり意味がない。それよりも普段の生活でイライラしないような自分になっていくことの方が大事だと思っている。

僕がインプロのワークショップをするにあたって一番シンパシーを感じているのは合気道のワークショップなのだけど、ここらへんは本当に合気道と似ている。「勝てる人」になりたいなら総合格闘技をやった方が早い。けれど、「戦わない人」になりたいなら合気道をやった方が早い。